心臓の拍動は規則正しく打たれているのですが、このリズムが速いもしくは遅い、乱れているという状態が不整脈です。人の心臓は1日約10万回拍動していると言われています。具体的には、心臓内にある洞結節で電気的刺激を発生させ、刺激伝導系と呼ばれる電線のような役割をする部位に電気が流れることで拍動するようになります。

この洞結節や刺激伝導系で何らかの異常が発生すると、正常でないリズムで脈が打たれるようになります。これを不整脈と言います。なお不整脈は、期外収縮をはじめ、通常よりも速いリズムで拍動する頻脈性不整脈、遅いリズムで拍動する徐脈性不整脈があります。

期外収縮とは

期外収縮は、洞結節でない部分で電気的刺激が発生している状態ですが、それが心房で起きると心房性期外収縮、心室で起きると心室性期外収縮と診断されます。これらの場合、通常よりも心拍は早く打たれます。なお期外収縮と診断されても気づかないことが多く、症状がある場合は、脈が飛ぶ感覚がみられるようになります。発症の原因については、自律神経の異常や興奮(アルコールやコーヒーの過剰摂取、睡眠不足、ストレス、疲労、加齢 等)によるケースもありますが、心臓の病気(心筋梗塞、心不全、心筋症、心臓弁膜症 等)による場合もあります。

頻脈性不整脈とは

1分間に100回以上脈が打たれていると判定されると頻脈性不整脈と診断されます。頻脈に関しては、運動をする、興奮している、睡眠不足、脱水、発熱の症状があるなど生理的なことが原因という場合もあります。刺激伝導系の異常によって引き起こされる頻脈としては心房粗動、心房細動、心室細動、WPW症候群、発作性上室性頻拍などがあり動悸・息切れ、めまい、立ちくらみ、失神などを生じます。一部の頻脈性不整脈は心停止を引き起こす心室細動に移行する事がありますので注意が必要です。

徐脈性不整脈

徐脈の場合は、1分間に打たれる脈の回数が60回未満の場合としています。なおスポーツ選手は脈拍がゆっくりになりやすいです(洞性徐脈)。また年をとるにつれて、房室ブロックや洞不全症候群による徐脈が出現する事があります。徐脈による症状としては、めまい、息切れ、過度に疲れやすい、失神などがあります。

検査について

人によっては健診での心電図検査の結果で不整脈と判定されることもあれば、動悸・息切れ、脈が飛ぶなどの症状から医療機関を受診し、不整脈に気づくということもあります。これといった症状がみられなくても不整脈との指摘を受ければ治療が必要なこともあるので一度当診療科をご受診ください。

不整脈を詳細に調べるには、通常の心電図検査に加えて24時間心電図を記録し続ける携帯型のホルター心電図を使用する事もあります。これによって、どのタイプの不整脈で、1日の中でもどの時間帯で起きやすいかなど調べます。また心臓超音波検査で心臓の大きさや動きなどを調べるほか、血液検査で不整脈を引き起こす病気の有無などもみていきます。

治療について

自覚症状がなく、生命に影響がない状態と判断されれば経過観察となります。日常生活に支障をきたしている、致死性不整脈へ移行する可能性があるのであれば治療の対象です。特に頻脈性不整脈については薬物を用いた保存的治療を選択する事が多いですが、心房細動や心房粗動に対しては抗凝固薬も使用します。

徐脈性不整脈についてはまず徐脈性不整脈の患者様で自覚症状があるという場合は、ペースメーカーを埋め込む必要があります。また心房細動など頻脈性不整脈の患者様で症状が強く出ている場合はカテーテルアプレーションが選択されることもあります。また、心室頻拍や心室細動といった致死性不整脈に対しては埋め込み型除細動器(ICD)を使用します。