静脈は、血液が循環する際に欠かせない血管のひとつで、各器官より不要となった二酸化炭素や老廃物を含んだ血液を心臓へと戻す働きをします。この静脈には、深部静脈と表在静脈があるのですが、深部は筋肉の中などにある静脈のことを言います。
この手足にある深部静脈で血栓、いわゆる血の塊が発生している状態を深部静脈血栓症(DVT)と言います。深部静脈の中でも下肢や骨盤の静脈で発生することが多いとされていますが、さらに膝窩静脈も含む上の部分に血栓が発生している状態を中枢型、膝窩静脈よりも下の部分に血栓が発症していると末梢型に分類されます。
血栓が発生する原因に関しては、ひとつとは限りません。具体的には、長時間の飛行機の利用や入院によって身体を動かさない、肥満、喫煙、脱水症状を引き起こしている、ピル等のホルモン剤の服用、化学療法を行っているがん患者様などに発症リスクが高いと言われています。
主な症状
よくみられる症状ですが、中枢型の深部静脈血栓症では、血栓が発生している部位において腫れや痛みが現れるほか、熱っぽさなども感じます。一方の末梢型では、血栓が発生した部位で痛みが出ることもありますが、自覚症状が認められないということもあります。
なお同疾患によって発生した血栓が血流に乗って飛んでいき、それが肺の血管を詰まらせている状態になれば肺塞栓症(エコノミークラス症候群)と診断されます。この場合、胸痛、めまい、失神、呼吸困難などの症状がみられます。人によっては、生命に影響することもあります。
検査について
医師による視診や触診のほか、静脈超音波検査等の画像検査で血管(静脈)内の血栓の有無を調べるなどして診断をつけていきます。
治療について
治療の中心は、血液をサラサラにする効果があるとされる抗凝固薬(ワルファリン 等)による薬物療法となります。また薬物療法以外では、弾性ストッキングを着用することもあります。抗凝固薬の治療は3ヵ月程度行い、医師が必要と判断すれば、さらに延長して使用していきます。